【第7回】SS(浮遊物質)とは?排水処理で重要な管理項目とSSが高くなる原因をわかりやすく解説

「排水分析でSSが高いと言われたけれど、そもそもSSって何?」

「排水分析の結果に“SS”という項目があるけれど、何を意味しているのか分からない」

「処理水が白く濁っているのは、SSが原因?」

「最近、汚泥や薬品の使用量が増えてきたけれど、SSと関係があるの?」

排水処理設備をご使用の工場では、このようなお悩みが発生することがあります。

SS(Suspended Solids:浮遊物質)は、排水処理において重要な管理項目のひとつです。

特に、バレル研磨排水や研磨排水には、細かな金属粉や研磨剤、微粒子などが含まれるため、それらを適切に除去できているかを確認するうえでもSSは重要な指標になります。

また、

「以前より処理水が濁ってきた」

「凝集剤などの薬品を増やしても改善しない」

「汚泥の発生量が増えた」

といった排水処理設備の変化に、SSが関係している場合もあります。

今回は、SS(浮遊物質)とは何か、排水処理においてなぜ重要なのか、SSが高くなる原因や現場で起こりやすいトラブル、対策のポイントについて分かりやすく解説します。

目次

SS(浮遊物質)とは?

SSとは、「Suspended Solids(サスペンデッド・ソリッド)」の略称で、水中に浮遊している物質を表します。

日本語では「浮遊物質」や「懸濁物質」などと呼ばれています。

バレル研磨排水や研磨排水の場合、例えば次のようなものがSSとして含まれることがあります。

・金属粉
・研磨剤由来の微粒子
・微細な汚泥
・油分などと結合した浮遊物
・洗浄工程などから発生する微粒子

こうした物質が適切に除去されず処理水中に残ってしまうと、処理水の濁りなどにつながる場合があります。

バレル研磨排水は加工する材質によってSSも変化します

バレル研磨排水・研磨排水を考えるうえで重要なのが、工場によって排水の性状が異なるという点です。

例えば、

・鉄製品
・アルミ製品
・ステンレス製品
・真鍮製品

など、加工する材質によって発生する金属粉などは異なります。

さらに、使用している研磨石やコンパウンド、洗浄剤、加工方法、生産量などによっても、排水の状態は変化する可能性があります。

そのため、バレル研磨排水を適切に処理するには、単純に排水量だけを見るのではなく、「どのようなSSが、どの程度発生するのか」まで考慮した排水処理設備の設計・管理が重要になります。

なぜ排水処理ではSSの管理が重要なのか?

SSが適切に処理されていない場合、排水処理設備全体にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。

例えば、

・処理水の濁りが目立つ
・凝集沈殿処理が安定しない
・汚泥量が増加する
・ろ過設備への負担が増える
・薬品使用量が増加する
・フィルタープレスへの負担が大きくなる
・ランニングコストが増加する

といった問題です。

特に凝集沈殿処理では、排水中の微細な物質をフロックとして大きくし、沈殿させて分離します。

この処理が適切に行われないと、SSを十分に除去できず、後工程のろ過設備などへの負担が増加する場合があります。

つまりSSは、単に分析結果を見るためだけの項目ではありません。

排水処理設備が現在の排水を適切に処理できているかを確認するための重要な管理指標のひとつなのです。

SSが高くなる原因とは?

「以前は問題なかったのに、最近SSが高くなった」

このような場合、原因はひとつとは限りません。

代表的な原因として考えられるのが、

・生産量が増加した
・排水量が増えた
・加工する製品や材質が変わった
・研磨条件が変わった
・凝集条件が適切ではない
・pHが適切に管理されていない
・薬品の種類や添加量が現在の排水に合っていない
・設備の処理能力が不足している
・ポンプや配管などの設備状態が変化している

といったものです。

そのため、SSが高くなったからといって、凝集剤などの薬品を増やすだけで解決できるとは限りません。

原因を特定するためには、現在の排水条件や設備全体の状態を確認する必要があります。

【トラブル事例①】処理水が白く濁っている

「昨日までは問題なかったのに、今日は処理水が白く濁っている」

「最近、少しずつ処理水の透明度が悪くなってきた」

このような場合には、

・SSの増加
・凝集状態の変化
・pH管理の異常
・薬品添加条件の変化
・排水量の増加
・排水性状の変化
・設備能力の不足

など、さまざまな原因が考えられます。

特に生産量が増加すると、それに伴って排水量やSS負荷も増える可能性があります。

設備導入時には問題なく処理できていたとしても、現在の生産量に対して設備能力に余裕がなくなっていれば、十分にSSを除去できなくなることも考えられます。

「白濁=薬品不足」と決めつけず、排水条件と設備全体を確認することが重要です。

【トラブル事例②】汚泥量が以前より増えてきた

SSの状態は、排水処理によって発生する汚泥にも関係します。

例えば、

「以前より薬品使用量が増えた」

「フィルタープレスの稼働回数が増えている」

「汚泥の処分量が増えてきた」

「汚泥ケーキの状態が以前と違う」

といった変化が見られる場合には、排水のSS負荷や凝集条件などが変化している可能性があります。

注意したいのが、処理状態を改善しようとして必要以上に薬品を投入してしまうケースです。

薬品添加量を増やすことで、かえって汚泥量や薬品コストが増加する場合もあります。

薬品を増やしても改善しない場合には、

「なぜ以前の条件では処理できなくなったのか?」

という視点から原因を確認することが大切です。

【トラブル事例③】生産量を増やしてからSSが高くなった

排水処理設備を導入した当初は問題なく処理できていても、

・生産量が増加した
・加工設備を増設した
・加工する製品が変わった
・排水量が増加した
・研磨条件や使用薬品が変わった

といった変化によって、設備に入ってくるSSの量が増加することがあります。

このような場合、設備そのものは故障していなくても、現在の生産状況に対して排水処理能力が不足している可能性があります。

「以前と同じ排水処理設備だから大丈夫」とは限りません。

生産設備や生産量が変わった場合には、現在の排水条件に対して処理能力が十分なのかを確認することが重要です。

SSを安定して処理するための5つのポイント

SSを効率よく除去し、排水処理を安定させるためには、薬品だけではなく設備全体のバランスを確認することが重要です。

1.適切なpH管理

凝集処理ではpHが重要な条件のひとつです。

pHが適切な状態になっているかを日常的に確認します。

2.排水に適した薬品の選定

排水の性状は工場によって異なります。

現在使用している凝集剤などの薬品や添加条件が、現在の排水に合っているかを確認することが重要です。

3.凝集状態・フロックの確認

フロックが小さい、崩れやすい、沈殿しにくいといった状態になっていないか確認します。

4.排水量と設備能力の確認

生産量や排水量が設備導入時より増加している場合、現在の設備能力で十分に処理できるのか確認する必要があります。

5.排水処理設備の定期メンテナンス

ポンプ・配管・薬品注入設備・凝集槽・沈殿槽・ろ過設備などの状態も、SS除去能力に影響する場合があります。

定期的に設備を点検し、異常を早期に発見することが重要です。

排水処理設備で毎日確認したい5つのチェックポイント

排水処理設備の異常を早期に発見するためには、毎日の変化を見ることが大切です。

日常点検では、特に次の5項目を確認してみてください。

① 処理水の色・透明度に変化はないか

昨日までと比べて濁りが強くなっていないか確認します。

② 汚泥量は増えていないか

同程度の生産量にもかかわらず汚泥量が増えていないか確認します。

③ pH値は安定しているか

日々のpHを記録しておくことで、異常の早期発見につながります。

④ 薬品の使用量は増えていないか

同じ処理量なのに薬品使用量が増えている場合には、排水条件や設備状態が変化している可能性があります。

⑤ フロックの状態は良好か

フロックの大きさや沈降状態に変化がないか確認します。

排水処理設備のトラブルは、必ずしも突然発生するものではありません。

「いつもより少し濁っている」「薬品の減りが早い」「汚泥が少し増えた」

こうした小さな変化に気づくことが、設備トラブルの早期発見につながります。

SSの除去能力低下は排水処理設備のサインかもしれません

SSが高くなる原因は、薬品や排水だけではありません。

排水処理設備は、

・ポンプ
・配管
・pH調整設備
・薬品注入設備
・凝集槽
・沈殿槽
・ろ過設備
・フィルタープレス

など、さまざまな機器が連携することで機能しています。

例えば、ポンプ能力の低下や配管の詰まり、薬品注入設備の不具合など、一部分の問題が排水処理全体に影響する場合があります。

「最近SSが高くなった」

「処理水の状態が以前と違う」

という場合には、排水条件だけではなく設備側に変化が起きていないか確認することも重要です。

定期メンテナンスで排水処理設備を長く安定して使用する

排水処理設備は、稼働していれば問題がないというわけではありません。

設備の経年劣化などによって、少しずつ本来の性能を発揮できなくなる場合があります。

設備停止や処理不良などの大きなトラブルが発生してから対応するのではなく、定期的な点検・メンテナンスによって、

・ポンプの状態
・配管の状態
・薬品注入設備
・pH調整設備
・凝集槽・沈殿槽
・ろ過設備
・フィルタープレス

などを確認しておくことが重要です。

設備を適切な状態に保つことは、安定した排水処理だけでなく、突発的な修理や設備停止のリスクを抑えることにもつながります。

「SSが高い」「白濁する」ときは設備能力も確認しましょう

次のようなお悩みはありませんか?

・排水分析でSSが高いと言われた
・処理水が以前より白く濁っている
・凝集剤を増やしても改善しない
・汚泥量が増えている
・薬品代が以前より高くなった
・フィルタープレスの負担が増えている
・生産量を増やしてから排水処理が不安定になった
・現在の設備能力で足りているのか分からない
・排水処理設備が古くなってきた

このような場合、SSだけを見るのではなく、現在の排水量・排水性状・凝集条件・設備能力を総合的に確認することが重要です。

設備の能力不足が原因であれば、薬品添加量だけを調整し続けても、根本的な改善につながらない可能性があります。

まとめ|SS(浮遊物質)の増加・排水の白濁でお困りならご相談ください

SS(浮遊物質)は、バレル研磨排水・研磨排水の処理状態を確認するうえで重要な管理項目です。

「処理水が白く濁る」

「SSが高くなった」

「汚泥量が増えてきた」

「薬品使用量が増えている」

「凝集状態が安定しない」

といった変化が見られる場合には、SSだけでなく、排水条件や凝集条件、設備の状態を確認することをおすすめします。

有限会社エイチアイテクノスでは、東大阪市を拠点に、バレル研磨排水・研磨排水に対応した排水処理設備の設計・製作・設営から、定期メンテナンス、修理、設備更新まで一貫して対応しております。

工場の排水処理は、排水量だけでなく、加工する材質や生産量、排水の性状などによって必要となる設備・処理条件が異なります。

そのため当社では、工場ごとの排水条件や現在の生産状況を確認し、設備の状態に合わせた改善方法をご提案いたします。

こんなお悩みがございましたらご相談ください

「排水分析でSSが高いと言われた」
「処理水の白濁が改善しない」
「薬品を増やしてもSSが下がらない」
「汚泥量・汚泥処分費を減らしたい」
「薬品コストを見直したい」
「現在の排水処理設備の能力を確認したい」
「生産量を増やすため排水処理設備を見直したい」
「古くなった排水処理設備を更新したい」
「他社で設置した設備だが、一度状態を確認してほしい」

「設備更新が必要か分からない」「まず現在の設備や処理状態を確認したい」という段階でも、お気軽にご相談ください。

現在の設備や排水の状況を確認し、工場の生産状況に合わせた排水処理をご提案いたします。

目次