【第3回】pH管理が排水処理のカギ!薬品を増やしても改善しない本当の原因とは?

「薬品を増やしているのに改善しない」そんなお悩みはありませんか?

「以前より薬品を多く使用しているのに、なかなか沈殿しない。」

「排水が白く濁ってしまう。」

「汚泥の量が増えてきた。」

「昨日は問題なかったのに、今日は処理がうまくいかない。」

排水処理設備を運転していると、このような症状が発生することがあります。

その原因として見落とされがちなのが、「pH管理」です。

排水処理では、凝集剤や中和剤などの薬品を使用して処理を行いますが、それらの薬品は適切なpHの範囲でなければ、本来の性能を十分に発揮することができません。

つまり、どれだけ適切な薬品を使用していても、pH管理が適切でなければ、思うような処理結果を得ることができないのです。

今回は、排水処理におけるpH管理の重要性や、現場でよくあるトラブルについて詳しくご紹介します。

目次

pHとは何を表しているのでしょうか?

pH(ペーハー)とは、水溶液が酸性なのか、アルカリ性なのかを示す数値のことです。

一般的に、

  • pH5~9・・・中性
  • pH5未満・・・酸性
  • pH9を超える・・・アルカリ性

とされています。

排水処理では、このpH値を適切な範囲に調整することによって、

  • 凝集剤の効果を高める
  • 金属成分を沈殿させる
  • 安定した排水処理を行う

といった重要な役割を担っています。

バレル研磨排水や研磨排水は、加工内容や使用している薬品によって性質が異なるため、それぞれの排水に適したpH管理が必要になります。

なぜpH管理が重要なのでしょうか?

例えば、凝集沈殿処理では、微細な金属粉や浮遊物質を大きな塊(フロック)にして沈殿させます。

しかし、

  • pHが適切ではない
  • 排水の性質が変化している
  • 生産量が増加している

などの場合には、薬品が本来の性能を発揮できず、

  • 沈殿しない
  • フロックが小さい
  • 排水が白く濁る
  • 汚泥が増加する

といった症状につながってしまいます。

「薬品が悪いのでは?」と思われることもありますが、実際にはpH管理が原因であるケースも少なくありません。

薬品の使用量を増やす前に、まずはpH値を確認することが重要になります。

現場でよくあるトラブルとは?

ケース① 薬品を増やしても改善しない

最も多いトラブルの一つが、「薬品を増やしたのに改善しない」というケースです。

凝集剤を増やしても、

  • 沈殿しない
  • 白濁が改善しない
  • 汚泥だけが増える

という場合には、pH値が適切な範囲から外れている可能性があります。

必要以上に薬品を投入してしまうと、

  • 薬品コストの増加
  • 汚泥量の増加
  • ろ過設備への負担増加

といった新たな問題につながってしまい

ます。

ケース② 生産量の増加による排水の変化

設備導入時には問題なく処理できていたとしても、

  • 生産量が増加した
  • 加工内容が変わった
  • 使用する薬品が変更になった

などの理由によって、排水の性質が変化している場合があります。

排水の性質が変われば、適切なpH条件も変化します。

「以前はこの設定で問題なかった」という場合でも、定期的に確認することが重要です。

ケース③ pH計の劣化

意外と見落とされるのが、pH計のメンテナンスです。

  • 数値が安定しない
  • 表示値にばらつきがある
  • 校正を長期間行っていない

といった場合には、正しい数値を測定できていない可能性があります。

設備だけではなく、計測機器の定期的な点検も重要になります。

毎日確認したい5つのポイント

次のような項目を毎日確認してみましょう。

  1. pH値は安定しているか
  2. 排水の色に変化はないか
  3. 沈殿状態に変化はないか
  4. 薬品の使用量は増えていないか
  5. 汚泥量に変化はないか

これらは大きな設備トラブルを防ぐための重要な確認項目です。

「いつもと少し違う」という変化に気付くことが、予防保全の第一歩になります。

定期メンテナンスが設備を守ります

排水処理設備は、毎日稼働しているからこそ、少しずつ状態が変化していきます。

例えば、

  • ポンプの能力低下
  • 配管の詰まり
  • pH計の劣化
  • ろ過能力の低下
  • 排水量の変化

などは、日々少しずつ進行していきます。

そのため、

  • 定期的な設備点検
  • pH計の校正
  • 排水条件の確認
  • 薬品使用量の見直し

を行うことによって、安定した排水処理を維持することができます。

設備が停止してから対応するのではなく、「壊れる前に確認する」という予防保全の考え方が重要になります。

pH管理はコスト削減にもつながります

適切なpH管理を行うことによって、

  • 薬品コストの削減
  • 汚泥量の削減
  • 設備の長寿命化
  • 設備停止リスクの低減

など、多くのメリットがあります。

「薬品を減らすこと」がコスト削減ではなく、「設備を最適な状態で運転すること」が、本当のコスト削減につながるのです。

排水処理設備は、工場の安定した生産を支える重要な設備です。日々の管理が、設備の寿命やランニングコストにも大きく影響してきます。

まとめ

pH管理は、排水処理の品質を左右する重要な管理項目です。

  • 薬品を増やしても改善しない
  • 排水が白く濁る
  • 汚泥が増えてきた
  • 沈殿状態が安定しない

といった症状が見られる場合には、まずpH管理を確認してみることをおすすめします。

適切なpH管理と定期的なメンテナンスを行うことで、設備を長く安定して使用することができます。

有限会社エイチアイテクノスでは、バレル研磨排水や研磨排水の排水処理設備について、設計・製作・設営から定期メンテナンスまで一貫して対応しております。

「薬品を増やしても改善しない」「汚泥が増えてきた」「設備の状態を一度確認したい」などのお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。工場ごとの排水条件や生産状況に合わせた最適なご提案をさせていただきます。

目次